たばこがやめられない方への審美と機能回復

投稿日:2016年10月28日

カテゴリ:入れ歯の症例

初診時

  • 入れ歯

  • 入れ歯

「見た目(審美)をよくして、咬めるようになりたい(機能回復)」
ということで来院された男性の方です。
残っている歯も半分はグラついていました。
私はインプラントを考えました。
しかし大きな問題がありました。
ヘビースモーカーだったのです。

タバコが如何に悪いものであるかを説明します。
胸をはじめとする全身への関与は省略し、歯科関連についてのみ記します。

1.まず、タバコに含まれるニコチンは歯茎の血流を悪くして
歯茎に酸素や栄養がうまく行き渡らないようにし、歯ぐきの抵抗力を弱め、
細菌と戦う白血球の働きを弱めます。

2.また、タバコによって
唾液の分泌が抑えられるため口の中が不潔になりやすく、
歯垢や歯石がつきやすくなります。

3.さらに、
傷ついた歯茎や骨を治そうとしている細胞にダメージを与えて傷の治りを悪くします。

4.その上、タバコにはニコチン、タールなど有害物質が200種類以上も含まれていて、
これらは歯茎の細胞を遺伝子レベルで破壊します。

5.タバコを吸う人の歯茎は黒く硬く厚みをおびています。そして歯周炎になっても
歯茎の腫れなどはなく、歯みがきで出血することもないので、一見丈夫に見えます。
これは、歯茎が強くなっているのではなく、免疫機能の低下で炎症が起こりにくくなっているのです。
つまり、防衛することすらできずにいるのです。

インプラントはすばらしい治療法ではありますが、あくまで人工物です。
手足に入れるボルトは外部に露出していないので感染しにくいですが、インプラントは半分骨に埋まり、半分は外部に露出しています。

タバコを吸っている人がインプラントを入れたらどうなるでしょう。
少なくとも耐久性(もち)は良くないと思います。

しかし、悲しい事実がもう一つあります。それは

命に係わるといわれた方はタバコをやめることができますが、
歯のためにタバコをやめることができた方は、ほとんどいない

のです。

「タバコをやめるくらいなら歯なんか無くていい」
というのが喫煙者の本音のようです。

私はリーゲルテレスコープ義歯を提案しました。

終了時

  • 入れ歯

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インプラントではないからタバコは吸っていいというわけではありません。
吸わないに越したことはありません。
しかし、歯がダメになったときの修理は、義歯のほうが簡単なのです。

骨に厚みがありインプラントも考えたのですが、タバコがやめられないということと本人の希望から、リーゲルテレスコープデンチャーとしました。

写真を撮るために唇を横に引っ張っているため、義歯のピンク色の部分が見えますが、日常生活では全く見えません。
また、ピンク色の部分の面積も非常に小さいため、異物感も抑えられます。
さらに、残っている歯を2~3本失っても、義歯を作り直す必要はありません。修理してそのまま使うことができます。

出し入れをするということが不便に感じられるかもしれません。
しかし、介護する立場から見れば非常に清掃しやすく、衛生状態を保ちやすいということになります。

リーゲルテレスコープ・デンチャー

入れ歯保険の入れ歯はバネによって歯に引っかけます。
リーゲルテレスコープデンチャーはレバーを開閉することで、義歯の着脱を行います。
レバーがかんぬきの役割をしているのです。

金額は¥1,420,000+税でした。
内訳は以下の通りです。

被せ物の部分  :¥160,000×5本(残っている歯の本数)
レバーの部分  :¥ 50,000×2本
レバー軸部の歯 :¥160,000×2本
義歯の部分   :¥200,000
(残っている歯の位置によって設計が変わりますので、金額はあくまで目安となさってください。)

入れ歯

入れ歯

歯科医師から一言

     どんな治療方法にせよ、利点と欠点は必ずあります。

テレスコープデンチャーは入れ歯と被せ物を一体化した形の入れ歯です。
入れ歯という物体が、口の中に入るということが欠点かと思います。
しかし、以下の様な利点があります。

1. 残っている歯の本数が少ないほど、治療回数が少なく、かつ、治療費を抑えることができます。
(インプラントや他の治療は残存歯が少ないほど治療費がかかります。)

2. 従来の入れ歯は、バネのかかっている歯がダメになると作り直しをしなければなりませんが、
テレスコープデンチャーは修理して使えます。壊れないわけではありませんが、修理して長く使えます。

3. 従来の入れ歯はバネでひっかけているので動きがありますがテレスコープデンチャーは動きが少ない。

4. 動きが少ないのでよくかめます。

5. 動きが少ないので異物感が少ない。

6. 特別な外科処置、手術を必要としません。普通の歯科治療の範囲でできます。
よって高齢者、高血圧や糖尿病の方、その他の有病者、インプラントをするには難しいと言われた方でもできます。

7. 清掃がしやすい。介護をする方も、される方も非常に楽です。
口の中の衛生状態が、さまざまな全身疾患をひきおこすことが分かってきた現在、これは重要なことと思います。