歯周病からの復活 つけていてもわからない、よくかめる入れ歯(前編)

投稿日:2016年10月28日

カテゴリ:入れ歯の症例

初診時

入れ歯50歳代の男性。「歯がグラグラして痛い、かめない、見た目も良くない。インプラントにしたい」ということで来院されました。

見た目を気にしているらしく、マスクをなさって来院されました。

完成:6月中旬

入れ歯治療が終了した所です。
もう、マスクはされません。

インプラントではなく、テレスコープ義歯となりました。

患者様の希望をなるべく受け入れたかったため、最後まで、インプラントができるかどうか、さまざまな検査をしました。その検査が、1月下旬までかかってしまいました。

治療が始まったのは2月からでしたので、約4ヶ月の治療期間でした。

どのように治療が進んでいったかを順を追って見て行きます。

初診時エックス線写真

入れ歯口全体の写真を撮りました。
インプラントとはあごの骨に金属の土台を植え込み、その上に人工歯を被せるという治療法です。
自分の歯と同じようにかむことができ、しかも入れ歯のように出し入れする必要はありません。

しかし、大きな難点がありました。
あごの骨が少ないのです。

あごの骨は青線上にあります。上あごの場合、インプラントを植え込むと赤線まで達してしまいます。

赤線より上は上顎洞と呼ばれる空洞になっています。
蓄膿症でウミがたまる場所です。
ここにインプラントが突き抜けると上顎洞が化膿し、強い痛みと腫れが引き起こされます。
そのためインプラントはできません。

下あごの赤線は下顎管という神経の管です。
ここを傷つけると顔半分の感覚が麻痺し、顔がゆがんでしまいます。

しかし、なんとか患者様のインプラントという希望をかなえたく、CT画像診断によってインプラントができるかどうか再検討しました。

入れ歯左のものはステントというものです。
インプラントを打ち込む場所を事前に予測するために作ります。
これを口に付けてCT撮影することによってインプラントを打ち込む場所の骨の位置を知ることができます。

インプラント手術をする時のガイドにもなります。

CT撮影結果

入れ歯義CT撮影の結果、インプラントをやれるかやれないかの瀬戸際であることがわかりました。
左は下あごのCT撮影の画像解析をした図です。

しかし、まだ問題はあります。
それは歯周病の問題です。

この時点で、かなり歯周病による歯ぐきの化膿は治まっていました。
しかし、歯があるかぎり、歯周病は完治しません。
歯周病は糖尿病と同じように一度なってしまったら進行を遅らせることはできますが、完治することはないのです。歯周病の菌によってインプラントも歯周病になってしまうかもしれないのです。

せっかくインプラントが成功しても、またダメになる可能性について・ダメになったら最初からやり直ししなければならないことについて・治療費について
等を検討いたしました。

どうしても残せない歯の抜歯

入れ歯歯を一本でも残そうとすることは大切なことです。
しかし、一本を大切にすることによってその他の歯までダメになってしまうこともあるのです。

写真は右下の親知らずです。
歯の根の先についている粒々が、歯石です。

歯の表面には、骨や歯ぐきにくっつくように信号を出す組織があります。
しかし、歯石は歯の表面にくっつくことによって、その信号を遮断します。

骨や歯ぐきは「これは歯ではない、異物である。」と認識し、歯から逃げたり、歯を押し出そうとしたりします。
これが歯周病です。

歯への被せ物

入れ歯テレスコープデンチャーは、歯に被せ物をして、さらにその上に入れ歯と一体化した被せ物をかぶせるというシステムです。

’80年代にテレスコープシステムが現れ、その中にはうまくいかない症例もありました。
うまくいかなかった症例のほとんどは、この歯への被せ物「内冠」の製作の失敗によるもの、および設計上のミスだと言われております。

入れ歯内冠は一般的には手作業で研磨をします。
ところが手作業で研磨したものの表面を顕微鏡下で見るとデコボコになっています。
これではテレスコープ義歯(テレスコープ・デンチャー)を出し入れするたびに歯にひっかかって、歯をこじってしまい、歯の寿命を短くしてしまいます。これが当時の失敗症例の大きな原因と思われます。

そこで、左の写真のように、オペラデンタルでは機械で研磨をしています。
すると表面は顕微鏡下で見ても、鏡のように滑らかなのです。
これを鏡面研磨と言います。

かみ合わせをしらべる

いくら製作物がすばらしくても、かみ合わせが良くなければ入れ歯は安定しません。
「かみ合わせをみる」とは建築にたとえるならば、構造計算・設計です。
どんなにすばらしい天然のヒノキをつかっても、設計がうまくいかなければ、耐用年数は短くなります。

オペラデンタルの特徴は「コーヌスデンチャー」ではなく、「かみ合わせを考えた入れ歯の治療」という所にあります。

左画像

入れ歯まず、上の入れ歯を完成させました。
理想的な歯並びで製作するため、現時点では下の歯とはかみ合っておりません。
理想的な歯並びで上の義歯を作り、それに合わせて下の義歯を作り、すべてを理想的な状態に作り上げていきます。 

費用は¥1,000,000(税別)でした。
内訳は以下の通りです。
被せ物の部分¥160,000×5本=¥800,000(税別)
義歯の部分¥200,000(税別)

入れ歯

入れ歯

入れ歯

上顎にテレスコープデンチャーを装着した所

上顎にテレスコープデンチャーが装着されました。
下顎には仮の入れ歯が入っています。
これに合わせて下顎にも義歯を製作していきます。

  • 入れ歯

  • 入れ歯

上顎にあわせて下顎を作っていく

入れ歯上顎が完成いたしました。
上顎は理想的な歯並びで作成しているため、下顎とはかみ合いません。
しかし、下顎はまだ、仮の入れ歯の状態です。
仮の入れ歯に手を加えてかめるように手直ししました。

従来の入れ歯の製作は凸凹な歯並びに合わせて製作していました。
凸凹な歯並びに合わせて作られた入れ歯は、やはり凸凹です。
これでは少しあごをずらしただけでも凸と凸がぶつかって入れ歯ががたついてしまいます。

オペラデンタルの特徴は不自然な歯ならびに合わせて入れ歯を作るのではなく、理想的な歯並びになるよう、入れ歯を作っていくことにあります。

歯への被せ物

入れ歯テレスコープデンチャーは、歯に被せ物をして、さらにその上に入れ歯と一体化した被せ物をかぶせるというシステムです。

’80年代にテレスコープシステムが現れ、その中にはうまくいかない症例もありました。
うまくいかなかった症例のほとんどは、この歯への被せ物「内冠」の製作の失敗によるもの、および設計上のミスだと言われております。

入れ歯内冠は一般的には手作業で研磨をします。
ところが手作業で研磨したものの表面を顕微鏡下で見るとデコボコになっています。
これではテレスコープ義歯(テレスコープ・デンチャー)を出し入れするたびに歯にひっかかって、歯をこじってしまい、歯の寿命を短くしてしまいます。これが当時の失敗症例の大きな原因と思われます。

そこで、左の写真のように、オペラデンタルでは機械で研磨をしています。
すると表面は顕微鏡下で見ても、鏡のように滑らかなのです。
これを鏡面研磨と言います。

上顎にあわせて下顎を作っていく

入れ歯上顎が理想的な歯並びで製作されているため、下顎は無理なく、自然に製作することができます。

オペラデンタルでは精密な入れ歯を製作できるよう、左の写真のようなあごの動きをシミュレートするアーティキュレーター(咬合器)という機器を用いております。

下顎の完成

入れ歯上顎はかみ合わせの基準となるため製作に2ヶ月かかりました。
しかし、下顎は基準に合わせて製作できるため、半分の1ヶ月で製作できました。
あごの関節に問題のある方は治療期間がもう少し長くなります。
関節の問題を解決してからでないと、せっかく製作しても、作り直しになってしまうからです。

費用は¥1,000,000(税別)でした。
内訳は以下の通りです。
被せ物の部分¥160,000×5本=¥800,000(税別)
義歯の部分¥200,000(税別)

入れ歯

治療の終了

入れ歯治療が終了しました。
下の写真は初診時のものです。

これ以上悪くならないよう、この状態を長く維持できるよう、オペラデンタルでは3ヶ月に1度のメンテナンスを行っております。

「え~、やっと終わったのにまた来るの?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、定期健診を受けることは自分の歯を残すためには重要なポイントなのです。

231.治療だけでは歯は残らない
若いうちから定期健診を受けていると、将来自分の歯を2倍以上残せることが統計学的に明らかとなっております。

2.歯を抜く原因は虫歯ではない。
40歳以上の方の歯を抜く大きな原因は虫歯ではなく歯周病です。
その予防および進行の防止のためにも3ヶ月に1度の定期健診をお勧めします。
オペラデンタルは全国でも数少ない歯周病菌の除菌療法をおこなえる医院です。

3.保険が利きます。
歯の残っている本数で金額は変わりますが、3割負担の方で最大2,500円くらいです。

歯科医師から一言

どんな治療方法にせよ、利点と欠点は必ずあります。

テレスコープデンチャーは入れ歯と被せ物を一体化した形の入れ歯です。
入れ歯という物体が、口の中に入るということが欠点かと思います。
しかし、以下の様な利点があります。

1. 残っている歯の本数が少ないほど、治療回数が少なく、かつ、治療費を抑えることができます。
  (インプラントや他の治療は残存歯が少ないほど治療費がかかります。)

2. 従来の入れ歯は、バネのかかっている歯がダメになると作り直しをしなければなりませんが、
  テレスコープデンチャーは修理して使えます。壊れないわけではありませんが、修理して長く使えます。

3. 従来の入れ歯はバネでひっかけているので動きがありますがテレスコープデンチャーは動きが少ない。

4. 動きが少ないのでよくかめます。

5. 動きが少ないので異物感が少ない。

6. 特別な外科処置、手術を必要としません。普通の歯科治療の範囲でできます。
  よって高齢者、高血圧や糖尿病の方、その他の有病者、インプラントをするには難しいと言われた方でもできます。

7. 清掃がしやすい。介護をする方も、される方も非常に楽です。
  口の中の衛生状態が、さまざまな全身疾患をひきおこすことが分かってきた現在、これは重要なことと思います。