どうして入れ歯があわないの? かみ合わせから診た、入れ歯の診断
投稿日:2016年10月28日
カテゴリ:03.入れ歯の症例
初診時:正面観
何度入れ歯を作り直しても、修理しても、がたついて痛いということで来院されました。
上の前歯は何度も壊れて取れているそうです。
「前歯が何度も取れている」ということを記憶しておいて下さい。
初診時:側方面観・右
入れ歯の右下の部分はだいぶすり減っているようです。
「いきなり入れ歯を作っても以前と同じことの繰り返しです。何でうまくいかないのか分析してから入れ歯を作りましょう。」
と説明をし、同意を受けました。
初診時:かみ合わせ分析 側方面観・右
模型にして分析した所です。
金属の台と平行に引かれた赤い線が、理想的なかみあわせにおける歯の長さです。
奥歯がひどく長く、前歯が短いと言うことが分かります。
初診時:かみ合わせ分析 側方面観・右
咬奥歯がひどく長く、前歯が短いと言うことが上の写真で分かりました。かみ合わせが後ろに傾いているのです。
この様に後ろにかみ合わせが傾いている方は、下の奥歯に過大な力がかかり、下の奥歯がなくなりやすいのです。
そして、歯がなくなり入れ歯になっても過大な力がかかるので、いつまでたっても入れ歯が合わず痛むのです。
また、後ろ下がりのかみあわせの方は下の前歯が上の前歯を突き上げるので、上の前歯が取れたり、壊れたりするのです。
「前歯が何度も取れている」と言うのは、かみ合わせがおかしいことを示していたのです。
初診時:かみ合わせ分析 正面観・右
かみ合わせがおかしいのは前後差だけではありませんでした。
左右差もこれだけありました。
どんなに高級な外国自動車でも舗装されていないでこぼこ道を走ればガタつきます。
逆に軽自動車でも舗装された道なら滑らかに走れます。
入れ歯も同じです。
自前の歯にこれだけの前後差、左右差があればかみ合う入れ歯はガタついてしまいます。
ガタつきのある自前の歯に合わせて入れ歯を作っていたために何度入れ歯を作っても、調整しても痛みがとれなかったのです。
治療経過
「入れ歯を作ってほしい」と言うのが主たる訴えでしたが、以上を説明し、虫歯ではない上の歯を治療すべきことを説明し、同意を受けました。
写真は理想的なかみ合わせで作った被せ物です。
金属の台と平行になっているのが見てとれます。
正面から見ても左右差が改善されつつあります。
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術前
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術後
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術前
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術後
治療の経過
下の入れ歯にあわせずに製作しているため、
下の入れ歯と かみ合っておりません。
下の入れ歯を理想的なかみ合せの上の歯に合わせていきます。
後編では前歯を理想的な歯並びにしていきます。
治療の経過
前編の時点では歯の高さがそろっていたのは右側だけでした。
今回は、前歯と左の奥歯の高さをそろえていきます。
写真は、左の奥歯がそろってきたことを示しています。
治療の経過
前歯もそろってきています。
術前の左右差
上の写真と比較すると左右差がお分かりいただけると思います。
術前の前歯
新しく作った総入れ歯
上の歯がきれいな歯並びになりました。
きれいな歯ならびに合わせて入れ歯を作り直しますので、完成した入れ歯もきれいな歯並びとなります。
あごの力も均等にかかり、入れ歯は安定してきます。
術前の模型
歯科医師から一言
かみあわせを考えながら入れ歯を作っていくと、入れ歯が安定してくることは確かです。
しかし、現在の保険制度では、保険ですべてを行うのは難しく、どうしても自由診療(自費治療)を取り入れる必要がでてきます。その点をどうかご理解下さい。
入れ歯の安定については、参考症例もご覧下さい。
また、当医院は多くの患者様を、いらした順に次々診療していくシステムではないため、ぜひともアポイントをおとりの上、いらして下さいます様、お願い致します。
※ご来院前に当院の入れ歯治療のページをご覧いただけるとスムーズかと思いますのでぜひご覧ください。
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