顎の関節を考えた矯正治療(患者さんに苦労をおかけした症例)治療前

投稿日:2019年9月30日

カテゴリ:04.矯正(小児・小学生) 05.矯正(大人) 08.咬み合せの症例 09.歯を抜かない症例

患者さんは自分の病気の重篤度を理解できないことがあります。
というより、自分の専門外のことを、人はなかなか理解できません。
なかなか治療がうまくいかない場合、どうしても医者の技術のせいと考えてしまうでしょうが、難しい症例は誰がやっても難しいのです。

歯並びを治したい、顎(特に右)の痛みをなくしたいということを主訴として来院された40代後半の男性です。
一目見て「矯正治療も顎の関節の治療も難易度が高い」と思いました。

ガブっと噛んだ時に下の歯が見えないかみ合わせを 過蓋咬合 といいます。

過蓋咬合は多くの場合、顎関節症を伴います。
10代後半から肩こり、首の痛み、顎の関節の痛み、猫背が出てきます。
奥歯にトラブルも出てきます。
矯正治療も非常に大変です。
乳歯がまだ残っている、小学3年生くらいからの治療を当医院ではお勧めいたします

かみ合わせが深く、下の前歯が上の前歯に隠されて見えません
下の前歯が見えない方は、ほぼ間違いなく、顎の関節が後ろに押し込まれています。
指に例えるならば、四六時中、顎の関節が突き指した状態です。

上の前歯が天井側に押し込められています。これでは下顎が前に出せません

下の前歯が完全に上の前歯に隠されています。

顎の関節を楽にするためには、これくらい下顎を動かさなければなりません。
右(向かって左)の上下の歯の間には大きな隙間ができています。
この隙間を埋めるくらい、矯正治療で歯を移動させなければ顎の関節が良くなりません。

結論を先に申しますと、私は矯正治療だけで治そうとして、4年かかってしまいました。
しかし、それでも顎の関節にとって良い位置にはならず、そこから半年かけて被せ物で対応することになりました。
患者さんには本当に苦労をおかけしてしまいました。
私を信じて諦めずについてきて下さった患者さんには、ただただ、感謝のほかありません。

治療終了時に続きます。治療終了時はこちら