歯の神経をとっても痛みや腫れが取れない症状とは?

投稿日:2020年5月5日

カテゴリ:10.歯を抜かない症例 11.歯周治療の症例 12.虫歯の症例

歯の神経をとっても痛みや腫れが取れない症状を改善した症例

40代男性、歯ぐきが腫れていること主訴として来院されました。

このような場合は大抵、歯の神経が死んでしまい、神経が腐敗物質となり、そこで増えた細菌が骨を溶かし肉を突き破って出ている状況です。
ではなぜ死んでしまったかというと、
1かつて大きな虫歯がありそれを治療したが、結局神経が死んでしまった
2強い力がかかり、神経がその刺激に耐えられず死んでしまった
ということが考えられます。

そこで神経を除去して薬を詰めました。しかし、それでも治りませんでした。

歯が割れているか、もしくは側枝といって目には見えない神経の枝分かれがあって、そこに住みついた細菌を除去出来なかったということが考えられました。
CTと歯科用顕微鏡があれば確認できるのですが、当医院にはその設備がありません。
また、CTと顕微鏡は高額なため、一般の歯科医院では自費診療となり、その診療を行うと10万円程度になります。大学病院ならばあまり経営を考えず国からの補助もあるので保険診療でできます。
そこで歯科大学に併設された大学病院を紹介しました。

しかし、結果は同じで割れているだろうから抜歯と説明を受けたとの事です。

CT画像です。矢印の部分が骨のなくなった部位です。



同じ抜歯ならわざわざ名古屋まで行かなくてもいいし、一縷の望みをかけて一旦抜歯して口腔外で治療して元に戻す歯牙再植術を受けたいという事で、引き続き当医院で治療することになりました。

抜歯した歯です。歯の裏に一直線に溝があり、そこに歯石が多量についていました。
この歯の裏の溝を舌盲孔と言います。今回の化膿の原因は舌盲孔についた歯石でした。

この歯石を除去したところです。歯の裏面にある溝がわかるでしょうか?これが舌盲孔です。

これを抜歯してできた穴に戻しました。

写真はありませんが、約3ヶ月経ち、膿も腫れもなく、歯はくっついています。

治療後の経過観察

歯の周囲に骨が無く、抜歯しても不思議でない程動揺もありました。

当初根管治療がうまくいかない為と思われていましたが、実際は舌盲孔に歯石がついていたことが原因でした。

レントゲンでは分かりませんが、実際には前後的にも骨が無くなっており、抜歯もやむを得ない状況でした。

術後1年後の写真です。

歯の根の周囲に骨ができ、まったく動揺はありません。

治療期間 歯牙再植術の治療自体は1回で終わります。
ただし1ヶ月後に固定の除去をします。
その後普通の根の治療をします。
よって2〜3ヶ月くらいです。
金額 3割負担で約6,000円です。
リスク 歯が割れていた場合はいかなる方法を用いても残せません。
抜歯してインプラントかブリッジにするより他ありません。